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プルーフ・オブ・ワーク(PoW)とは? ビットコインが「巻き戻せない」理由をやさしく解説

プルーフ・オブ・ワーク(PoW)とは? ビットコインが「巻き戻せない」理由をやさしく解説
Photo: Xiangfu / CC BY-SA 4.0

プルーフ・オブ・ワーク(PoW/proof-of-work)は、「実際に計算コストを払った人だけが次のブロックを追加できる」というビットコインの合意ルールです。過去の取引を書き換えようとすると、そこから先の計算コストを全部払い直さなければならないため、時間が経った取引ほど事実上巻き戻せなくなります。

要点

PoWは「誰が正しいか」を多数決ではなく費やされた計算量で決める仕組み。だから承認(confirmation)が積み上がるほど改ざん費用が跳ね上がり、取引が確定に近づきます。本記事は投資助言ではありません。

なぜ「作業の証明」が必要なのか

中央の管理者がいない台帳では、「どの取引履歴が正しいのか」を全員で一致させる方法が要る。単純な多数決だと、身元を無限に作れるインターネットでは投票を偽造し放題になってしまう。

ビットコインの解決策は、投票権を「アカウント数」ではなく「計算量」に紐づけることだった。1つのブロックを追加するには、条件を満たすハッシュ値を探し当てるという総当たりの計算が必要になる。この計算にかかる電気代と機材代こそが偽造を割に合わなくする。

仕組み——3つの部品

1. ハッシュ計算(当たりを引くまで試す)

マイナーはブロックの中身にナンスという数値を足してハッシュ関数にかけ、出てきた値が「決められた目標値より小さいか」を確認する。外れならナンスを変えてやり直す。近道はなく、当てずっぽうを高速で繰り返すしかない。この試行速度の合計がネットワーク全体のハッシュレートだ。

2. 難易度調整(10分に戻す自動ハンドル)

参加者が増えて計算が速くなれば、当たりも早く出る。それではブロック間隔が短くなりすぎるので、ビットコインは2,016ブロックごとに目標値を調整し、ブロック間隔がおよそ10分に戻るようにする。詳しくは難易度調整とは

3. 最長チェーンの採用(もっとも仕事が積まれた履歴が正)

チェーンが枝分かれしたとき、ノードもっとも累積作業量の大きい枝を正とみなす。ここが肝心で、「先に来たほうが勝ち」でも「多数決」でもない。もっとも多くの計算コストが投じられた履歴が正しい履歴になる。

なぜ「承認が増えるほど安全」なのか

あなたが受け取った取引を無かったことにするには、攻撃者はその取引を含まない別の履歴を作り、しかもそれを現在の最長チェーンより長くする必要がある。取引がブロックに入ってから積み上がったブロックの数(=承認数)が増えるほど、追いつくために必要な計算量は増えていく。

つまり承認数は「待ち時間」ではなく 「攻撃者が払わされる金額」 の目安だ。この数え方はビットコインの承認(confirmation)とはで扱っている。

51%攻撃で「できること・できないこと」

ネットワークの過半数のハッシュレートを握った攻撃者にできるのは、主に自分が送った取引を巻き戻す(二重支払い)ことと、特定の取引をブロックに入れないことだ。

一方で、他人のコインを勝手に動かすことはできない。送金には秘密鍵による署名が必要で、これはハッシュレートとは無関係だからだ。発行上限を増やすこともできない。詳しくは51%攻撃とは二重支払いとは

PoS(プルーフ・オブ・ステーク)との違い

PoWが外部のコスト(電気と機材)で不正を割に合わなくするのに対し、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)は内部のコスト、つまり預けた通貨そのものを没収する仕組みで同じ目的を果たす。イーサリアムは2022年にPoWからPoSへ移行したが、ビットコインはPoWを維持している。

  • PoW:参入に物理的な設備と電力が要る/攻撃コストが外部の実物経済に紐づく/消費電力が大きい
  • PoS:消費電力が小さい/攻撃コストはその通貨自体の価格に依存する/初期配分の影響が残りやすい

どちらが優れているかは前提の置き方で結論が変わるため、本サイトでは優劣の断定はしない。両者の比較はビットコインとイーサリアムの違いも参照。

電力に関する論点

PoWの消費電力は批判の的になりやすい。押さえておきたいのは、消費電力の大きさそのものがセキュリティ予算であるという設計の性質だ。安く守れるということは、安く攻撃できるということでもある。

その上で、電源構成(余剰電力・フレアガス利用の割合)や、同じ安全性をより少ない電力で得られないかという問いは、依然として妥当な議論として残っている。詳しくはビットコインと環境・電力

まとめ

PoWは「速い合意」のための仕組みではなく、巻き戻しを高くつかせるための仕組みだ。だからこそ、高額な受け取りでは承認数を多めに待つという運用が意味を持つ。仕組み全体の流れはビットコインの仕組みビットコインのホワイトペーパーとはで確認できる。

Sources

  1. Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System (Satoshi Nakamoto)
  2. Bitcoin.org — How does Bitcoin work?

よくある質問

プルーフ・オブ・ワーク(PoW)とは何ですか?
計算コストを実際に払った参加者だけが次のブロックを追加できる、というビットコインの合意ルールです。ノードは枝分かれしたチェーンのうち累積作業量が最大のものを正しい履歴とみなすため、過去を書き換えるには同じ計算をやり直す必要があります。
なぜ承認(confirmation)が増えると安全なのですか?
取引を巻き戻すには、その取引を含まない別のチェーンを現在の最長チェーンより長くする必要があるためです。取引の後に積まれたブロックが増えるほど、追いつくのに必要な計算量とコストが増えていきます。
51%攻撃では他人のビットコインを盗めますか?
盗めません。送金には秘密鍵による署名が必要で、ハッシュレートの多寡とは無関係です。過半数のハッシュレートでできるのは主に自分の取引の巻き戻し(二重支払い)と、特定の取引をブロックに入れない検閲です。
PoWとPoSの違いは何ですか?
PoWは電力と機材という外部コストで不正を割に合わなくし、PoSは預けた通貨の没収という内部コストで同じ目的を果たします。イーサリアムは2022年にPoSへ移行しましたが、ビットコインはPoWを維持しています。
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本記事は情報提供のみを目的とし、投資・金融・取引の助言ではありません。価格は参考値で古い場合があります。投資判断はご自身の責任で。