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ビットコイン担保ローンとは?LTV・追証ライン・強制決済リスクを解説

ビットコイン担保ローンとは|LTV(担保掛目)・追証ライン・強制決済リスクを解説
写真: Pixabay / CC0

結論:BTCを売らずに借りられるが、価格下落で「追証→強制決済」に至るハイリスクな仕組み

ビットコイン担保ローン(暗号資産担保ローン)は、保有するビットコイン(BTC)を売却せずに担保として差し入れ、日本円やステーブルコインなどの資金を借りる仕組みです。含み益への課税を避けたまま資金を得られる一方、BTC価格が下落すると借入額に対する担保の割合(LTV)が上がり、追加担保の要請(追証)や、最終的には担保の強制的な売却(強制決済・ロスカット)に至るリスクを負います。あくまで教育目的の解説であり、特定の事業者・サービスを推奨するものではありません。

この記事のポイント

- BTCを保有したまま担保にして資金を借りられるが、借入額と担保評価額の比率=LTV(担保掛目)が価格下落で上昇する

- LTVが一定水準に達すると追加担保の要請(追証)、さらに悪化すると強制的な担保処分(強制決済・ロスカット)が発生しうる

- 国内では貸金業法・資金決済法の枠組みで提供され、LTV・金利・処分基準は事業者ごとに大きく異なる

- 強制処分は税務上「譲渡」とみなされうるため、含み益がある場合は課税リスクも伴う

仕組み:担保を預けて、売らずに借りる

資金が必要になったとき、多くの人はまず保有するBTCの売却を考えます。しかし売却すると含み益に対して譲渡益課税が発生します。ビットコイン担保ローンは、BTCを事業者(貸主)に担保として預け、その評価額に応じた金額を日本円やステーブルコインで借りる仕組みです。借入自体は資産の売却ではないため、借りた時点では原則として課税は発生しません。

借りている間、担保のBTCは事業者の管理下に置かれ、契約どおりに返済すれば返却されます。つまり自分の鍵で管理する自己管理(セルフカストディ)とは対照的に、担保である間は事業者にBTCを預ける(カストディを渡す)ことになります。ここが最初のリスクポイントです。

LTV(担保掛目)とは何か

LTV(Loan to Value)=借入残高(元本+未払利息)÷担保評価額で表される比率で、国内の事業者は「担保掛目」とも呼びます。たとえば担保掛目50%のサービスでは、時価500万円分のBTCを預けると、最大250万円程度まで借りられます(LTV=250万円÷500万円=50%)。

国内で暗号資産担保ローンを提供するFintertech株式会社(大和証券グループ・クレディセゾン系)の「デジタルアセット担保ローン」は、BTC・ETHいずれも担保掛目を50%に設定しています。同社は、債務総額に対する担保評価額の割合が150%・140%・120%まで下がった段階(LTV換算でおよそ67%→71%→83%)で、追加担保の検討を促すメールを自動送信するとしています。

海外の事例では、SALT Lendingが自社サイトで公開しているガイドで、30%・50%・70%の3段階から開始LTVを選べ、LTVが75%で警告、83.33%でマージンコール(追証)、90.91%で清算処理に入るとしています。LTV・追証・強制決済の水準は事業者ごとに大きく異なります。本記事はこれらの事業者名を仕組みを理解するための実例として挙げているだけで、利用を推奨するものではありません。契約前に必ず一次資料(重要事項説明・契約書面)で条件を確認してください。

価格が下がるとLTVはどう動くか(試算イメージ)

LTVは「借入額 ÷ 担保評価額」なので、担保評価額(=BTC価格)が下がるほどLTVは上がります。次は仕組みのイメージをつかむための単純な試算で、特定サービスの実際の条件ではありません。

BTC価格の変化担保評価額(当初500万円分)借入250万円時のLTV
変化なし500万円50%
-20%400万円62.5%
-30%350万円約71%
-50%250万円100%(担保割れ)

BTCは過去にも半年〜1年程度の期間で50%超下落した局面が複数回あります。担保掛目を保守的に設定していても、急落局面ではLTVが警告水準・強制決済水準に短期間で到達しうる点は理解しておく必要があります。

追証(マージンコール)ラインと強制決済(ロスカット)

LTVが事前に決められた「警告水準」に達すると、事業者から追加担保の差し入れ、または借入の一部返済を求める連絡(追証)が届きます。ここで対応できれば、LTVを引き下げて契約を継続できます。

しかしLTVがさらに上昇し「強制決済(ロスカット)水準」に達すると、事業者が担保のBTCの全部または一部を裁量で売却し、返済に充当します。Fintertechの重要事項説明でも「暗号資産価格の大幅な下落により担保不足となるおそれが著しく強い基準に達したと判断した場合、担保を処分する」と明記されており、具体的な発動水準や発動タイミングは事業者の裁量に委ねられているのが実情です。強制決済は借り手の意思とは無関係に執行され、想定より不利なタイミング・価格で売却されることもあります。

強制決済は「税務上の譲渡」になりうる

暗号資産を売却した場合の利益は、原則として雑所得として課税されます(国税庁)。担保として預けたBTCが強制的に処分された場合も、借り手にとっては資産の譲渡にあたる可能性があり、含み益があれば課税対象になり得ます。個別の取り扱いは契約内容や状況によって異なるため、税理士・国税庁への確認をおすすめします。

確定申告・税金の書類と電卓
写真: MoneyBlogNewz / CC BY 2.0

日本の規制上の位置づけ(2026年7月時点)

現時点で、暗号資産の交換・カストディ業務は資金決済法上の「暗号資産交換業」の登録が必要で、円建てで利息を取って貸し付ける行為には貸金業法の登録も別途必要になるのが一般的な整理です。担保としてBTCを預かる事業者は、この両方の規制がかかりうる立場にあります。

まだ「検討・提案」の段階の改正もある

金融庁は2026年4月10日、暗号資産に関する規制を資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移す改正法案を閣議決定し、通常国会に提出しました。成立すれば無登録業者への対応強化や開示規制の整備が予定されていますが、2026年7月時点ではまだ法案の段階で、施行は成立後1年程度=2027年度の見込みとされています。現時点では現行の資金決済法・貸金業法の枠組みが基本です。

事業者を検討する場合は、金融庁が公表する登録業者一覧で貸金業・暗号資産交換業の登録状況を確認し、無登録業者との取引は行わないことが重要です。

検討する前に押さえておきたいリスク一覧

  • 価格変動リスク:BTC価格の急落でLTVが短期間で悪化し、追証・強制決済に至る可能性がある。
  • 強制決済時の課税リスク:意図しないタイミングでの譲渡とみなされ、含み益に課税される可能性がある。
  • 資金繰りリスク:追証に応じるための追加担保・返済資金を用意できないと強制決済に進む。
  • カストディ(保管)リスク:担保である間は自分でBTCを保管できず、事業者の破綻・流出事故の影響を受けうる。
  • 規制未整備リスク:暗号資産担保ローン特有の消費者保護ルールはまだ発展途上で、事業者ごとの条件差が大きい。

BTC担保ローンは「売却せずに資金を得る」選択肢の一つとして語られることがありますが、これらのリスクをすべて理解したうえで、必要な資金だけを、余裕を持ったLTVで検討するのが基本です。まずはビットコインの買い方コールドウォレットでの保管など、BTCの基礎を押さえてから検討しても遅くありません。

よくある質問

Q. BTC担保ローンで借りたお金に、借りた時点で税金はかかりますか? A. 借入自体は資産の売却ではないため、原則として借りた時点では譲渡益課税は発生しません。ただし担保が強制的に処分された場合は、その時点で譲渡があったとみなされ課税対象になり得ます。

Q. LTVが上昇してきたら、どうすればいいですか? A. 事業者からの連絡に従い、追加担保の差し入れか、借入の一部返済でLTVを下げる必要があります。価格急落時に慌てないよう、事前に対応策と資金の余裕を用意しておくことが重要です。

Q. どの事業者・サービスを選べばいいですか? A. 本記事は特定のサービスを推奨するものではありません。検討する際は、貸金業・暗号資産交換業の登録の有無、LTV・追証・強制決済の基準、金利、担保の保管方法を、必ず契約書面や重要事項説明などの一次情報で確認してください。

参考・出典

投資にあたっての注意

本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。ビットコインは価格変動やハッキング、紛失等のリスクがあります。投資判断はご自身の責任で、余裕資金の範囲で行ってください。本記事は公開時点の公開情報に基づきます。最新の数値・制度は一次情報をご確認ください。

Sources

  1. Fintertech「デジタルアセット担保ローン」よくあるご質問
  2. SALT Lending — Understanding LTV & Margin Calls in Bitcoin-Backed Loans
  3. 金融庁「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」説明資料
  4. 金融庁「無登録業者との取引は要注意」
  5. 国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱い」

FAQ

BTC担保ローンで借りたお金に、借りた時点で税金はかかりますか?
借入自体は資産の売却ではないため、原則として借りた時点では譲渡益課税は発生しません。ただし担保が強制的に処分された場合は、その時点で譲渡があったとみなされ課税対象になり得ます。
LTVが上昇してきたら、どうすればいいですか?
事業者からの連絡に従い、追加担保の差し入れか、借入の一部返済でLTVを下げる必要があります。価格急落時に慌てないよう、事前に対応策と資金の余裕を用意しておくことが重要です。
どの事業者・サービスを選べばいいですか?
本記事は特定のサービスを推奨するものではありません。検討する際は、貸金業・暗号資産交換業の登録の有無、LTV・追証・強制決済の基準、金利、担保の保管方法を、必ず契約書面や重要事項説明などの一次情報で確認してください。
佐藤 健一
  • 暗号資産アナリスト
  • ビットコイン取材歴9年
  • 元金融メディア記者

2016年からビットコインを取材・解説。半減期、マイニング、各国規制、自己管理(セルフカストディ)に明るく、初心者にわかる説明を重視。

本記事は情報提供のみを目的とし、投資・金融・取引の助言ではありません。価格は参考値で古い場合があります。投資判断はご自身の責任で。