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ビットコインは日本でいつから買えた?取引所の歴史|Mt.Gox・bitFlyer・改正資金決済法

東京・日本橋兜町の東京証券取引所ビル(写真はイメージ・日本の金融規制の象徴として使用)
写真: Lombroso / CC BY-SA 4.0

結論:Mt.Gox(2010年)→ bitFlyer・Coincheck(2014年)→ 登録制(2017年)の3段階

日本でビットコインを取引所で買えるようになった歴史は、大きく3つの段階に分けられます。①2010年、東京を拠点とするMt.Goxが世界最大級のビットコイン取引所に成長した時代 ②2014年、日本人向けの国内取引所bitFlyerとCoincheckが登場した時代 ③2017年、Mt.Gox崩壊を教訓に「改正資金決済法」が施行され、暗号資産交換業が登録制になった時代です。ビットコインの歴史が世界年表なら、この記事は「日本の取引所という市場そのもの」がどう生まれ、どう規制されてきたかに絞って解説します。

この記事のポイント

- 日本発の世界最大級取引所Mt.Goxは2010年設立・東京渋谷が拠点で、2013〜2014年には世界のビットコイン取引の約7割を扱っていた。

- 国内消費者向け取引所はbitFlyer(2014年1月創業・4月に取引所開始)とCoincheck(2014年8月に取引所サービス開始)から本格的に始まった。

- Mt.Goxが2014年2月に破綻したとき、日本には暗号資産交換業を規律する専用の法律がまだ存在しなかった

- その反省から2017年4月1日、改正資金決済法が施行され、交換業者の登録制が初めて導入された。

- 登録制導入後も2018年にCoincheckのNEM流出事件が起き、制度はさらに強化されていった。

2010年:Mt.Goxが「世界最大の取引所」になった

ビットコイン取引所の歴史を語るとき、日本は意外にもかなり早い段階から中心地でした。Mt.Gox(マウントゴックス)は2010年7月、米国人プログラマーのジェド・マケーレブ氏が、もともとカードゲームの取引サイトとして作っていたサービスをビットコイン交換所に転用したのが始まりです。2011年3月には、東京在住のフランス人開発者マーク・カルプレス氏に事業が譲渡され、以後は東京・渋谷を拠点に運営されました。

Mt.Goxはその後急成長し、2013年から2014年初頭にかけては世界のビットコイン取引の約7割を扱う、当時圧倒的に最大のビットコイン取引所になりました。ただし当時のMt.Goxは日本人一般消費者向けというより、世界中のビットコイン利用者が使うグローバルな取引所という性格が強く、日本国内で暗号資産を規律する法律もまだ存在しない、いわば「法の空白地帯」で運営されていた点は押さえておく必要があります。

2014年2月:Mt.Gox崩壊と「規制なき時代」の教訓

2014年2月、Mt.Goxは突然出金を停止し、2月28日に東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請、約85万BTC(顧客預かり分約75万BTC+自社保有分約10万BTC)が消失していたことが明らかになりました。その後4月には破産手続きに移行し、長い法的手続きを経て、2024年7月から債権者への返済がようやく始まっています。

この事件そのものの経緯・原因・返済状況の詳しい解説はマウントゴックス(Mt.Gox)事件とは?にまとめています。本記事で重要なのは、当時の日本には暗号資産交換業者を専門に規律する法律が存在せず、利用者資産の分別管理を義務づける仕組みもなかったという点です。この「規制の空白」が事件の被害を広げた一因とされ、後の法整備の直接的なきっかけになりました。

同じ2014年:bitFlyerとCoincheckという「次の世代」の始まり

Mt.Goxが揺れていたのと同じ2014年、日本人利用者向けの国内取引所が相次いで生まれています。

取引所会社設立取引所サービス開始創業者
bitFlyer2014年1月9日2014年4月加納裕三氏(元ゴールドマン・サックス)
Coincheck(前身: レジュプレス)2012年8月2014年8月和田晃一良氏・大塚雄介氏

bitFlyerは元ゴールドマン・サックスのトレーダーだった加納裕三氏が2014年1月に東京で設立し、同年4月にビットコイン取引所サービスを開始しました。Coincheckは会社自体(当時の社名は「レジュプレス」)は2012年8月創業ですが、日本円でビットコインを直接売買できる取引所サービスを始めたのは2014年8月で、こちらも実質的なスタートは2014年です(社名がコインチェック株式会社になったのは2017年4月)。

つまり「日本でビットコインが本格的に個人にも買えるようになった年」を1年に絞るなら、2014年がその年にあたります。ただし当時はまだ登録制もなく、各社が独自にルールを整えていた時代だったことは忘れてはいけません。

2017年4月:改正資金決済法が「登録制」を作った

Mt.Gox崩壊を受け、金融庁は暗号資産(当時の呼称は「仮想通貨」)交換業を法律で規律する検討を進め、2017年4月1日、改正資金決済法および暗号資産交換業者に関する内閣府令が施行されました。これにより、日本国内で暗号資産と法定通貨を交換するサービスを行うには、金融庁(財務局)への登録が必須になり、登録業者には利用者財産の分別管理や、公認会計士・監査法人による分別管理監査などが義務づけられました。

同年9月29日には、bitFlyerを含む11社が最初の登録業者として発表されています。ビットコインの買い方で紹介している国内取引所は、いずれもこの登録制のもとで営業する事業者です。

Coincheckは登録前に大流出事件を起こした

2018年1月、Coincheckは登録審査中の「みなし業者」の状態のまま、約580億円相当のNEM(ネム)を外部に流出させる事件を起こしました。金融庁は同月、業務改善命令を発出し、Coincheckが正式に登録業者となったのは事件から約1年後の2019年1月です。登録制ができた後も、審査中の事業者にはリスクが残っていたことを示す事例として押さえておきましょう。

この事件を経て、金融庁は監督・検査体制をさらに強化し、2020年5月1日には呼称も「仮想通貨」から現在の「暗号資産」に統一されました。今日、国内で暗号資産交換業を営むには金融庁の登録が前提となっており、ビットコインとは何かを学んだ人が安全に取引を始められる土台が、この一連の歴史の上に築かれています。現在の税制・規制の全体像は日本のビットコイン税制・規制まとめで解説しています。

年表でふりかえる

出来事
2010年7月Mt.Gox、ビットコイン交換所として東京で始動
2011年3月Mt.Goxの経営権がマーク・カルプレス氏に譲渡
2012年8月Coincheckの前身「レジュプレス」創業
2013〜2014年Mt.Goxが世界のビットコイン取引の約7割を扱う規模に
2014年1月bitFlyer創業
2014年2月Mt.Gox、出金停止・民事再生法申請(約85万BTC消失)
2014年4月bitFlyer、取引所サービス開始
2014年8月Coincheck、取引所サービス開始
2017年4月1日改正資金決済法施行、暗号資産交換業の登録制開始
2017年9月29日bitFlyerなど11社が第一陣として登録完了
2018年1月Coincheck、NEM流出事件(当時は登録前の「みなし業者」)
2019年1月11日Coincheck、正式に登録業者に
2020年5月1日呼称が「仮想通貨」から「暗号資産」に統一
2024年7月Mt.Gox債権者への返済が開始

よくある質問

Q. 日本で最初にビットコインを買えるようになったのはいつ? A. 世界最大級の取引所だったMt.Goxが2010年に東京で始動しており、早期から利用は可能でした。ただし日本人一般消費者向けの国内取引所としては、bitFlyerとCoincheckが取引所サービスを始めた2014年が実質的なスタートといえます。

Q. bitFlyerとCoincheck、どちらが先に始まった? A. 会社設立ではCoincheckの前身(レジュプレス、2012年8月)の方が先ですが、ビットコイン取引所サービスの開始はbitFlyerが2014年4月、Coincheckが同年8月で、サービス開始はbitFlyerがわずかに早いです。

Q. なぜ2017年の改正資金決済法が重要なの? A. それまで法律上の登録制度がなかった暗号資産交換業に、初めて「登録制」を導入したためです。利用者資産の分別管理などのルールが義務化され、無登録で営業することができなくなりました。

Q. 登録制ができた後は、取引所は安全になった? A. 最低限のルールは整いましたが、2018年のCoincheck NEM流出事件のように、登録前後でもリスクがゼロになったわけではありません。金融庁の登録業者一覧で確認したうえで、パスワードやパスキーの管理など自己防衛の基本も学んでおくことが大切です。

参考・出典

  • 金融庁「暗号資産に関連する事業を行うみなさまへ」: https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/index_2.html
  • 金融庁 暗号資産交換業者登録一覧(PDF): https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kasoutuka.pdf
  • bitFlyer「仮想通貨交換業者登録完了のお知らせ」(2017年9月29日): https://bitflyer.com/pub/notification-of-virtual-currency-exchange-registration-ja.pdf
  • 日本経済新聞「金融庁、仮想通貨交換業者として11社を登録」(2017年9月29日): https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL29HPZ_Z20C17A9000000/
  • 日本経済新聞「コインチェックを正式登録 金融庁、巨額流出から1年」(2019年1月): https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39919440R10C19A1000000/
  • 日本経済新聞「仮想通貨の名称、『暗号資産』に 改正資金決済法が成立」: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45500720R30C19A5EAF000/
  • マウントゴックス - Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/マウントゴックス
  • Coincheck株式会社「私たちについて」: https://corporate.coincheck.com/about
  • bitFlyer「会社概要」: https://bitflyer.com/ja-jp/s/company

投資にあたっての注意

本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。ビットコインは価格変動やハッキング、紛失等のリスクがあります。投資判断はご自身の責任で、余裕資金の範囲で行ってください。本記事は公開時点の公開情報に基づきます。最新の数値・制度は一次情報をご確認ください。

Sources

  1. 金融庁「暗号資産に関連する事業を行うみなさまへ」
  2. 金融庁 暗号資産交換業者登録一覧(PDF)
  3. bitFlyer「仮想通貨交換業者登録完了のお知らせ」
  4. 日本経済新聞「金融庁、仮想通貨交換業者として11社を登録」
  5. 日本経済新聞「コインチェックを正式登録 金融庁、巨額流出から1年」
  6. 日本経済新聞「仮想通貨の名称、『暗号資産』に 改正資金決済法が成立」
  7. マウントゴックス - Wikipedia
  8. Coincheck株式会社「私たちについて」
  9. bitFlyer「会社概要」

FAQ

日本で最初にビットコインを買えるようになったのはいつ?
世界最大級の取引所だったMt.Goxが2010年に東京で始動しており、早期から利用は可能でした。ただし日本人一般消費者向けの国内取引所としては、bitFlyerとCoincheckが取引所サービスを始めた2014年が実質的なスタートといえます。
bitFlyerとCoincheck、どちらが先に始まった?
会社設立ではCoincheckの前身(レジュプレス、2012年8月)の方が先ですが、ビットコイン取引所サービスの開始はbitFlyerが2014年4月、Coincheckが同年8月で、サービス開始はbitFlyerがわずかに早いです。
なぜ2017年の改正資金決済法が重要なの?
それまで法律上の登録制度がなかった暗号資産交換業に、初めて「登録制」を導入したためです。利用者資産の分別管理などのルールが義務化され、無登録で営業することができなくなりました。
登録制ができた後は、取引所は安全になった?
最低限のルールは整いましたが、2018年のCoincheck NEM流出事件のように、登録前後でもリスクがゼロになったわけではありません。金融庁の登録業者一覧で確認したうえで、パスワードやパスキーの管理など自己防衛の基本も学んでおくことが大切です。
佐藤 健一
  • 暗号資産アナリスト
  • ビットコイン取材歴9年
  • 元金融メディア記者

2016年からビットコインを取材・解説。半減期、マイニング、各国規制、自己管理(セルフカストディ)に明るく、初心者にわかる説明を重視。

本記事は情報提供のみを目的とし、投資・金融・取引の助言ではありません。価格は参考値で古い場合があります。投資判断はご自身の責任で。